もし「納骨堂」が罹災したら<前編>
このたびの災害、皆さま方は何処で何をなさっておられたでしょうか。
わたくしは幸いにして3月11日と(土、日曜日の12、13日の明けた)月曜日の14日はあらかじめお休みをいただいており、拙宅おりましたので、大事には至りませんでした。ただ、今回、大きく罹災した東北には親族、知人が少なくないので、安否の確認や状況について確認すると共に、必要とされるものをその都度送っているような状況です。無論、テレビやインターネットからの情報の収集にも努めております。しかし、何と申しても、東北の親族、知人とのやりとりの方が、現実的な問題として身に迫るものがあります。皆さまはいかがでしょうか。
さて、納骨堂が罹災してしまった時、一体、どうなるのでしょう。
墓地の場合ですと、一応、原則として「墓所区画内の復旧は使用者の義務(負担)」「園内の通路や駐車場など共益(共有して使用者が皆、使用している)部分の場合は「墓地の義務(負担)」というように分かれています。
無論、個別の細かな事例を挙げてゆくと ― たとえば、隣の墓石が倒れ込んできて、結果、被害を受けた ― とか ― 通路が陥没したことと併せて、それに面する墓所区画も同様に陥没したら ― など、実にさまざまな状況が考えられます。
- 写真提供:災害写真データベース
これに引き換え、棚式、ロッカー式、あるいは定義には無かった自動搬送式タイプなどは、賃貸型マンションですから、基本的には他に移れば良いだけのこと。はじめに支払った使用料の扱いについては問題となりそうですが、もし、仮に当該納骨堂が充分な耐震ないし免震の対策がなされていなかったことが明らかとなれば、使用料は戻ってくるだけではなく、他に移る際の費用なども求めることが出来るでしょう。ただ、納骨堂については別の問題が想定されます。
<後編に続く>
納骨堂の場合、以前、本コラムで定義した棚式、ロッカー式、あるいは定義には無かった自動搬送式タイプなどは、いずれも基本的にはそれらを提供している側の責任ということになるでしょう。しかし、いわゆる厨子(仏壇)式や、フロアに"お墓"を建立している場合には、ほぼ墓地の場合と同じように厨子(仏壇)壇や"お墓"自体のみが罹災した場合、その復旧は各々の使用者の義務(負担)となるでしょう。
ただ、納骨堂という施設全体が罹災した場合はどうなるでしょう。
墓地の場合のように「墓地(この場合『納骨堂』の義務(負担)」という訳にはいかないようです。分譲型マンションを想像してみてください。区分所有部分の補修は当然のことながら、その所有者が行います。ただ、マンション全体を補修する、建て直すというような場合、区分所有者全体の負担となることも考えられます。