ペット供養の基礎知識① ~ペットの火葬~
1 ペットの火葬とペットの推定死亡数
しかし、家族のようにして暮らしていたペットであっても、法律においては、悲しいことかもしれませんが、廃棄物処理法において、動物の遺骸は普通のゴミとして処分されます。ですので、飼い主は自分のペットが死んでも勝手に火葬することができません。
後ほど述べますが、ペット葬儀業者へ委託して火葬にすることも問題になる場合があります。例えば、横浜市では一般廃棄物としてゴミの回収業者が処理をしているため、回収された遺骸は、普通のゴミとして焼却工場で処理されることになります。
2 ペットの火葬と火葬場
ペットが死んだ場合、その死骸は焼却されることが一般的です。なぜなら死骸のまま埋めるのは、小型の動物は例外として、衛生上、極めて深刻な問題となることが懸念されるからです。
人間の死体を焼却する施設である火葬場であれば、墓理法による許可が必要となりますが、ペットの火葬場は、墓埋法の「火葬場」とはみなされず、あくまで「廃棄物の焼却炉」にすぎません。ですので、墓理法による火葬場使用としての許可は必要ありません。ただし、この場合も、他の法令や条例による規制がされています。
- 自宅近くでペットの火葬ができる移動火葬車
- 写真提供:アストロペットメモリアル
ちなみに、地方公共団体では、ペットの死体に関する相談を動物管理センター、環境保健局、健康福祉局、清掃局などで受け付けています。相談を受けた場合、次のような対応が取られます。
- ① 廃棄物用焼却炉でゴミと一緒に焼却する。
- 廃棄物用焼却炉では、ペットの遺骸はゴミの焼却灰と交じり合うため、そのまま埋められて処理されます。
- ② 動物専用炉で焼却する
- 動物専用炉とは、交通事故死した動物や引取り手がないまま処分された野良犬や猫の死骸を処理する焼却炉です。焼かれた後のペットの骨は、一緒に焼かれた他の動物とともに合同慰霊牌に納められることになります。他の動物と混ざってしまっていますが、希望によって骨灰を分けているところもあります。また、動物を個別に焼却する「動物専用炉」を設けている地方公共団体もあります。
- また、火葬場(焼却炉)に対しては、昨今、ダイオキシンなどの問題が盛んに議論されていることもあり、特に厳しい視線が注がれています。焼却に関する法律としては廃棄物処理法や大気汚染防止法、ダイオキシン類対策特別措置法などがあります。また、これらの法律とは別に、各自治体では独自に厳しい基準を設けている場合が少なくありません。たとえ基準や規制が設けられていなくても、住民から苦情が寄せられると、行政も何らかの対応を取るのが実情となっているようです。
ある報告によれば、6世帯に1世帯が犬を、7.5世帯に1世帯が猫を飼っているそうです。仮に全国4,000万世帯として考えると、このうちの約3割にあたる1,200万世帯が、犬か猫のいずれかを飼っていることになります。また、ペットの「年齢分有」を考慮しておおむね7年を寿命と仮定すると、年間170万世帯、毎年400万人を超える方々がペットを失っていることになります。