ペット供養の基礎知識② ~ペットのお墓~
3 ペットのお墓 ~ 土葬をすることは可能か
ちなみに現在、どれだけの「ペット霊園」があるのでしょうか。
インターネットで「ペット霊園」という言葉を検索すると、検索件数は約50万件にも及びます。その中から霊園のページを無作為に抽出して、その傾向を調べてみると、経営生体が明らかに寺院であると思われるものはわずか1割程度にとどまるようです。
また逆に、株式会社による「ペット霊園」でありながら「愛受院」「慈愛院」なる名称が付けられているものもありました。ただし、ほとんどのペット霊園が「宗旨・宗派を問わない」としていることから(つまり、1宗1派を前提とするペット霊園は見当たりませんでした)、寺院が運営しているものでありながら、あえて明らかにしていないのかもしれません。
- 火葬後の焼骨の取扱いについては、大きく次の3つの方式が考えられます。
- ① 他のペットとともに1つの合祀墓や碑に納める
- ② 納骨堂(ロッカーや棚が一般的)に預ける
- ③ ペット(飼い主)別に独立したお墓を設ける
このようにペットを葬る際、どのような法律的な問題が考えられるのでしょうか。
- ペット専門の納骨堂
- 写真提供:アストロペットメモリアル
また、土葬ができるペット霊園は、たとえ法的・手続的に設置が可能であっても、衛生的なトラブルが発生する可能性を考慮し避けるべきですし、行政においてはそのように指導しているようです。
なぜなら、ペットの中には病原体を保有しているものがあり、触れたりすることで人にも感染する可能性があるからです。こうした感染の危険性は生きているペットはもちろん、死んでしまった後も変わりません。厚生労働省健康局結核感染課では「動物由来感染症を知っていますか?」というホームページを設けて啓蒙に務めています。
ちなみに、牛・馬・豚などのいわゆる「家畜」とされる動物については、「化製炭などに関する法律」という規則が定められており、これによって「死亡獣畜取扱場」以外における死骸の処理は禁じられていますので、ご注意ください。
4 これからのペット霊園・火葬場のゆくえ
環境省は、ペット葬祭業者に対する規制を検討していますが、すでに国会においては「動物霊園(ペット霊園)事業に関する質疑応答(平成16年10月2日))」がなされたのを皮切りに、ペット霊園に対しても規制がなされるようになってきました。
最近では、ペットの死骸を不法に廃棄する事件が起きていることなどを受けて、環境省では、生きている動物を対象としていた動物愛護法で動物の死体の適切な扱い方を規定し、これまで規制のなかったペット葬祭業者を登録制とすることを検討しています。
今後、皆さんがペット霊園・火葬場を選ぶ際の基準にもなるのではないでしょうか。
- ペットと一緒に入れる墓地もあります。
- 写真提供:ワンハート・ストーン
【以後の本コラムではこうしたことを念頭に置いていただいた上で、ペットの葬儀というものは具体的にはどのような形で行われているのか(「流れ」「安置」「方法」についてなど)、あるいは、火葬や埋葬のなされ方について、実例を踏まえた詳しい説明、さらにはペットを亡くされた方の問題(いわゆる「ペット・ロス」)、そして、本コラムの連載に伴い、皆さまから寄せられた質問について………などについて触れてゆきたいと考えております。】(?)
人間の死体やお骨をおさめる場所や施設は「墓地、埋葬などに関する法律」によって許可を受けなくてはいけませんが、動物の骨や死骸は対象としていません。
ただし、②の納骨堂の場合、その規模によっては、建築基準法をはじめ、他の法令によってさまざまな制約を受けることが考えられます。
また、こうした法令とは別に、各自治体が独自に条例・規則を制定している場合もあるでしょう(最近では、「ペット霊園」の設置自体に関して、規制や条例を定めている地方公共団体もあります)。