"お盆"について考えてみる<後編>
<前編から続く>
また、お盆時期の地蔵菩薩の法会は「地蔵盆」と呼ばれ、(天道)大日如来のお盆は大日盆といわれます。以下は、全国にあまねく広がっているとはいえませんが、ある程度の地域では一般的な風習です。常識とされる地方もある反面、そういった風習が全くなかったり、時代とともに変容していった地方もあります。また、供えた供物を載せ川に流す風習のある地域において、近年は川を汚さないように流さなくなった地区もあるようです。
地方によっては、お盆の期間中には、故人の霊魂がこの世とあの世を行き来するための乗り物として、「精霊馬」(しょうりょううま)と呼ばれるキュウリやナスで作る動物を用意することがあります。4本の麻幹、あるいはマッチ棒、あるいは折った割り箸などを足に見立てて差し込み、馬、牛として仏壇まわりや精霊棚に供物とともに配します。キュウリは足の速い馬に見立てられ、あの世から早く家に戻ってくるように、また、ナスは歩みの遅い牛に見立てられ、この世からあの世に帰るのが少しでも遅くなるように、あるいは、あの世に供物を"お土産"として、牛に乗せてあの世へ帰ってもらうとの願いが込められていることは皆さんもご存知なのではないでしょうか。
沖縄県では、現在でも旧暦でお盆が行われている。13日をウンケー(お迎え)、15日をウークイ(お送り)と称し、この間先祖の霊を歓待します。独特の風習や行事が伝えられる代表的なものとしては、沖縄本島のエイサーや八重山諸島のアンガマが挙げられるでしょう。
地方によっては「施餓鬼」(きこん または せがき)と呼ばれ、餓鬼道に陥った亡者を救ったり、餓鬼棚と呼ばれる棚を作り、道ばたに倒れた人の霊を慰めるなどの風習もこの頃に行われます。また、盆提灯と呼ばれる特別な提灯を仏壇の前に飾ったり、木組に和紙を貼り付けた灯篭を流す灯篭流しや、提灯を小船に乗せたようなものを川などに流す精霊流しを行う場合があります。この度、東日本大震災に遭った我が国でも各地でも7月の盆に合わせて行われている様子が伝えられています。他には、甲信越・東海地方で、仏前に安倍川餅を供えるという習慣があります。 中部地方から北陸地方の一部地域では、送り火、迎え火の時に独特の歌を歌う習慣がありますし、長崎県では、盆の墓参りや精霊流しの際、手持ち花火や爆竹を鳴らすというような、大陸の旧正月に行われる春節に行われるのと似た風習がみられるようです。特に長崎市内ではその風習により、シーズンになると花火問屋など花火を扱う商店ではその需要の多さから、沢山の花火を求める客で賑わうそうですが、ご存知でした?。