現代の納骨堂の将来像(?)<前編>
実は、既に平成8(1996)年に米国で開設された「ヴァーチャルーメモリアル」なる「お墓」では、故人の名前をクリックすると、写真と共に、生年月日と死亡年月日、プロフィールなどが表示される仕組みになっています。
そもそも米国のお墓事情はわが国とは違って、命日や年忌にお墓参りをするという習慣がありません。なにしろ、だだっ広い土地柄ということもあって、たとえ遺族でも、埋葬した後は一度も故人のお墓を訪れることはない、というケースが珍しいことではないようです。そうした意味では、IT革命の発信地ということを割り引いても、実はこの「ヴァーチャルーメモリアル」は、米国にピッタリくる代物なのかもしれません。
先ほどのべた500万件近いサイトの中から目を引いたものをご紹介しましょう。 <後編に続く>
最近の納骨堂では、お骨(骨壷)や墓石が奥の倉庫のようなところに並べられており、遺族の方々はカードを差し込んだり、あらかじめ決められたID番号をタッチ入力をすると、"倉庫"の奥底深くにおさめられていたお骨(骨壷)や墓石が手前に現れ、それとともに、モニター画面には故人の遺影が現れたりするようなシステムの納骨堂も現れてきました。
すると、もう一歩先のことも考えられます。
遠隔地に居る遺族や、海外に移られた遺族も、お骨(骨壷)や墓石に直接、手をあわせることは難しいにしろ、インターネットを通して、モニター画面を通して、納骨堂でお墓参りしている様子や、故人の遺影を偲ぶことは出来ないだろうか、というアイディアです。
実を言うと、既に海を隔てた米国においては、平成8(1996)年に「ヴァーチャルーメモリアル」なるものが提案されております。そして、平成23(2011)年現在、「ネット墓」「電脳墓」「インターネット墓地」などインターネット上では、故人を悼む、あるいは自身の死後をWeb上で残しておこうというさまざまな試みが提案されています。
検索に使うキーワードと、検索エンジンの種類にもよりますが、優に500万件近いサイトがヒットします。
けれど、「15年近く経過した」という時間的な実績と、「1500万件近いサイト」という数をもってしても、いわゆる「インターネット墓地」「ネット墓」「電脳墓」などについて述べる際には、未だに"新しい試み""画期的な試み"という枕詞から説明・紹介がなされていることを考えると、いまだにこれまでの「お墓」=納骨堂に、なり代わり得ることが出来ない点、さらに工夫が求められている点は多々残されているようです。