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納骨堂を選ぶコツからペットのお墓まで

現代の納骨堂の将来像(?)<後編>

<前編から続く>


「エゴマシン」というプロジェクトがある。これはGoogleを使って自身の魂を未来へ投射し、死者との別れの儀式に楽しさを取り戻そうとする試みの提案である。「これまでの"墓石"という、死の記念碑に見られる虚栄は、インターネットをあたかも化粧鏡のように使う行為 - Googleで自分の名前を検索してみたり、自分のサイトへリンクを集めてみたりといった行為 - の虚栄とどこか通じるものがある」とプロジェクトの提案者は、ある程度の双方向性を備え、現実世界の肉体ともつながりのあるものを作りたかったと語る。そこで同氏は、自らの遺体をコンピューターのプロセッサーと一体化することにした。死後、遺灰はコンピューターに収められ、このマシン上でバーチャル・エージェントが動作し、ウェブ上から同氏の名前を挙げているページを逐一探し出すことになる。ウェブでの登場数が多ければ、このシステムを利用した故人の画像は若返る。だが、その数が減少すれば年をとり、衰え、最後には消えてしまう。


自分の死後、ネット上に残った自分の痕跡はどうなるか、考えたことがあるだろうか? 例えば、この関心空間で数百のキーワードを残して、或る日突然この世に別れを告げる羽目になったとしたら.........誰かが自分のHPやブログなどにコメントをしてもらったとしても、もう気の利いた返事も出来ないし、特に告知をしないまま、放置されているような状態であったとすると、ネット上でお付き合いしていた、しかし実際には顔を知らない皆さんから「あれ、そういえば最近こいつ出て来ないな」と思われるだけだろうか。ここで提案する「ネット墓守」は、自分死後、当面の間、あらかじめ保守して貰う管理者に委託する、というのはどうだろう? 誰かが自分の大切なキーワードに変なことをコメントしたら削除するとか、キーワード全部の末尾に「当HPの主である○○は、○月○日に逝去しましたので、このHPは墓守の管理下に移行しております」とか表示して貰う、ということも考えられる。現実問題、「物理的な墓石」には墓碑銘なんかほんの数行しか刻めないし、第一佛式の墓には碌な墓碑銘が無いように思えるから、正直言ってどうでも良いように思う。 しかし自分が残した文章等は、なんだかアッサリ消えてしまうのも残念なような気もするし、変な書き込みされたりして荒れて行くのは、誰しも悲しいと思うであろう。有り得るのは、信託銀行やら弁護士、彼らを通して、遺言と一緒にこういうネット墓守サービスの履行(実現)を担保て、依頼主の死亡と共に、生前に依頼されたネット情報の開示・保守・送信・削除等を行う、といったことが挙げられる。もはや故人となってしまった自分のメールアドレス宛に来た友人からのメールに、本人逝去の返信を送って貰うとか、あるいは、しかるべき予告をした後に、本人が作成したHPを削除する、とか。その他、自分の死後の30年分位の毎年の遺言を事前に作成しておき、年に一度、自分の遺族が、あるサイトにログインして、その遺言を読んで、しかるべきサーバにその遺言を手で入力しない限り、遺産相続のその年の分が振り込まれない、ということなども考えられる。最低誰かがアクセスしなきゃならないから、年に一度は故人を思い出すことになる。


【 My Space 】 や 【 Face book 】といったSNSサイトの競争のなかから考え出されたもの。「死のネットワーキング」とでもいうべき、スタイルの追悼が流行しているという。このような、どちらかというと陰気な方向のソーシャルメディアの代表格は、【 Always Be Remembered 】や【 Gone Too Soon 】 (会員数1万3000人で、毎日100人ずつ加入している)などだ。後者のサイトは、ダイアナ妃やエルビス・プレスリーといった故人のページもあり、誰もがそこに詩や写真や文章などを投稿・掲載したり、「バーチャル・キャンドル」を捧げることもできるようになっている。


「サイバーストーン」は、インターネット上に建立されたお墓のことです。 「サイバーストーン」とは、今、生きている証を記録する「自分史サイバーストーン」と、死後、生前と死後を複合化した「墓サイバーストーン」を統合した、21世紀対応型の「墓文化」の提案です。サイバーストーンは、お骨や遺髪を納めている実在の墓と、その人が生きた記録や記憶の「証し」を、IT技術によって後世に伝え、墓参や追憶を可能にする新しいお墓の提案である。 当然、IT技術を駆使しますので、文章、写真(静止画)、ビデオムービー、音声、緯度経度などの位置情報等々、三次元的構成や表現を可能にしました。この他、公開する人、公開する内容を指定して公開できますし、公開時期として生前、死後の指定ができます。公開する人(閲覧者)は、作成者が指定して登録します。 親族、友人などにのみ公開することができます。公開時期は、閲覧者ごとに、生前、死後、死後何年か経過後というように細かく指定である。 コンテンツ(内容)のページごと、閲覧者ごとでの指定が可能です。 「このページには、私の死後5年たってから、息子にだけ見せたい」というような指定をすることも可能であると考えている。


以上、500万件近いサイト ― ネット墓地、インターネット墓地 ― のなかから特徴的なものを幾つか簡単にまとめてみました。これらの他にも様々なコンテンツやサービスを付加させてゆくことは可能です。おそらくは今後はさらに加速度をつけながら、様々なネット墓地、インターネット墓地が現れてくることでしょう。 しかし、他方では、いまだに高齢者にとって、インターネットに触れる入り口であるコンピュータなどの機器が使えるか否かで、いまだにデジタルデバイド(「情報量格差」「情報操作格差」「情報耐性格差」)が改善されているとは言い難い現状にあります。 既に冒頭において、「『15年近く経過した』という時間的な実績と、『500万件近いサイト』という数をもってしても、いわゆる『インターネット墓地』『ネット墓』『電脳墓』などは、未だに"新しい試み""画期的な試み"という枕詞ともいえる表現を使って説明・紹介がなされている」ことを指摘しましたが、その原因のひとつがこの"デジタルバイト"にあるのではないでしょうか。今後のネット墓地、インターネット墓地の展開は、如何にしてアクセスビリティ(accessibility・「近づきやすさ」「アクセスのしやすさ」)を向上させてゆくかが大きなポイントになるのではないでしょうか。


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